もしあなたのLDL-C
(悪玉コレステロール)
の値が極端に高い場合はHoFHかもしれません

* 「LDL-C>100mg/dL」は日本動脈硬化学会のガイドライン (2022)の成人のLDL-Cの
目標値(動脈硬化性心血管疾患の既往のない成人の場合)をイメージ化したものです
HoFH(ホモ接合体家族性高コレステロール血症)とは?
「家族性高コレステロール血症」(FH)は、生まれつき血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が著しく増えてしまう病気です。私たちの遺伝子は、父親由来と母親由来の2つが一組となってできています。LDL受容体やその働きに関わる遺伝子に、この両方に変異がある場合を「ホモ接合体」と呼びます。
「ホモ接合体家族性高コレステロール血症」(HoFH)とは、両親から遺伝する希少疾患です。治療を何もしなければLDCコレステロールを体内で除去できず、その結果として動脈にプラーク(コレステロールが蓄積してできた血管内のコブ)が沈着します。これは動脈硬化とも呼ばれ、しばしば早期の心臓発作、脳卒中、その他動脈に関わる病気につながります。

HoFHと診断される場合、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)の値が極めて高く、何も治療していなければ治療目標値(一次予防患者では100 mg/dL 未満)の5倍以上に達している場合があります。
*一次予防:冠動脈疾患を起こしていない場合
HoFHは約30万人に1人の割合で発生しますが、診断を受けていなかったり、診断が遅れて適切な治療が受けられない人も多くいます。
有病率が高いのは以下のグループです。
27万5千人に1人 フランス系カナダ人
3万人に1人 南アフリカのアフリカーナ人
1万人に1人 キリスト教系レバノン人
HoFH (ホモ接合体家族性 高コレステロール血症)と
HeFH (ヘテロ接合体家族性 高コレステロール血症)の 違いは何ですか?
HoFHとHeFHは非常によく似ています。実際にHoFHがHeFHと間違われることもよくあり、正しい診断が重要です。
ホモ接合体家族性高コレステロール血症 (HoFH) | ヘテロ接合体家族性高コレステロール血症 (HeFH) |
---|---|
両方の親から受け継いだ遺伝子変異 | 片方の親から受け継いだ遺伝子変異 |
30万人に1人の割合で発生 | 300人に1人の割合で発生 |
海外では: 未治療でLDL-C >13 mmol/L (=503mg/dL)とされている 日本においては: |
小児: 未治療時のLDLコレステロールが 140mg/dL以上を複数回確認 成人: 未治療時のLDLコレステロールが 180mg/dL以上 |
可能性高:眼、腱、膝、肘、手足の指の間などにコレステロールが沈着するなどの症状が現れる可能性がよくあります。ただし、これらの沈着は必ず存在するとは限りません | 可能性あり:眼、腱、膝、肘、手足の指の間などにコレステロールが沈着するなどの身体的症状が現れる可能性があります |
年齢に関係なく診断時に専門医による治療を開始 | 可能な限り早く |
引用(McGowan and Cuchel et al.)を一部改変
この病気はどのような人に多いのですか?
私たちの遺伝子は、父親由来と母親由来の2つが一組となってできています。
「ホモ接合体家族性高コレステロール血症」(HoFH)とは、両親から遺伝する希少疾患であり、「家族性高コレステロール血症」(FH)の原因となる遺伝子の対の遺伝子の変異が2つ(それぞれの親から1つずつ)受け継がれることで発生します。すなわちそれぞれの親は、一般的なヘテロ接合体家族性高コレステロール血症
(HeFH)である可能性が高いです。
HoFHが正しく診断されるということは、家族全体に関わる問題でもあります。両親やその他の親族もFHと診断される可能性が高く、HoFHの人にはHeFHの兄弟姉妹がいるかもしれません。

この病気ではどのような症状がおきますか?
HoFHによってLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が高いまま生活を続けると、
心臓の機能不全を起こしやすくなります。
誕生時
LDLコレステロールの値が通常より著しく高い
(海外の報告では「18 mmol/L 超えていると」と言われています) (18mmol/L=696mg/dL)
誕生時に疾患が始まっています
小児期
コレステロールが血管や弁全体に 沈着し始める
重度のHoFHの場合、10歳未満で 最初の心筋梗塞を発症する可能性があります
思春期
コレステロールの沈着が続くことで動脈が狭くなり、心臓の機能が低下する
軽度HoFHの場合でも、心臓関連の重大なイベントが起こることがあります
成人するまで
重度のコレステロール沈着は動脈を硬化させ、心筋梗塞や心不全を引き起こす可能性がある
適切な治療を行えば、心血管イベントのリスク下げられる可能性があります
兆候を知る


極めて高いLDLコレステロール
(悪玉コレステロール)の値

若年期における心筋梗塞の家族歴、および/またはFHの家族歴

若年期における心筋梗塞または心疾患イベント

関節や目のコレストロール沈着

小児に見られる
黄色腫の例

成人に見られる
黄色腫の例
LDLコレステロール値
100mg/dL以下を目指しましょう

LDLコレステロールの目標値
日本動脈硬化学会の「家族性高コレステロール血症診療ガイドライ
ン 2022」では「ホモ接合体家族性高コレステロール血症」(HoFH)
のLDLコレステロール値100mg/dL以下を具体的な1次予防の目標
値(*)として掲げています。
(*) 1次予防の目標値 - 冠動脈疾患の既往歴がない場合の目標値(ある場合は70mg/dL以下)
LDLコレステロールの値を早期に下げることの重要性
LDLコレステロールは時間と共に徐々に血管に蓄積し、ある一定の
境界を越えると心臓の疾患を発症するといわれています。 具体的
には、「年数 x LDLコレステロール値が6000を越える」と冠動脈
疾患のリスクが上がるとされています。そのためより早く、より低
くLDLコレステロールの値を下げることが重要です。
〔参考文献:日内会誌 106:2625~2637,2017〕
* リスクは、患者特性、総コレステロール、治療歴によって異なります。
最適な治療を見つけましょう
HoFHの治療、すなわちLDLコレステロールを下げるためには様々な治療法があります。
LDLコレステロール値100mg/dL以下を目指し、お一人お一人に最適な治療法を見つけるために
専門医の先生に是非ご相談ください。
次のステップ

医師に相談する:
適切な早期診断により、あなたの状態に合った治療計画で、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)を下げるための対策をとることができます

調べる:
他の家族にHoFHのリスクがあるかどうかを確認します
HoFH(Homozygous Familial Hypercholesterolemia)=ホモ接合体家族性高コレステロール血症
HeFH(Heterozygous Familial Hypercholesterolemia )=ヘテロ接合体家族性高コレステロール血症
FH(Familial Hypercholesterolemia)=家族性高コレステロール血症
LDL-C=低比重リポタンパク質コレステロール
参照:
1. Tromp TR, Cuchel M. Curr Opin Lipidol. 2022;33(6):326-335
2. Beheshti SO, Madsen CM, et al. J Am Coll Cardiol. 2020;75(20):2553-2566