もしあなたのLDL-C
(悪玉コレステロール)
の値が極端に高い場合はHoFHかもしれません
HoFH(ホモ接合体家族性高コレステロール血症)とは?
「家族性高コレステロール血症」(FH)は、生まれつき血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が著しく増えてしまう病気です。私たちの遺伝子は、父親由来と母親由来の2つが一組となってできています。LDL受容体やその働きに関わる遺伝子に、この両方に変異がある場合を「ホモ接合体」と呼びます。
「ホモ接合体家族性高コレステロール血症」(HoFH)とは、両親から遺伝する希少疾患です。治療を何もしなければLDCコレステロールを体内で除去できず、その結果として動脈にプラーク(コレステロールが蓄積してできた血管内のコブ)が沈着します。これは動脈硬化とも呼ばれ、しばしば早期の心臓発作、脳卒中、その他動脈に関わる病気につながります。
HoFHと診断される場合、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)の値が極めて高く、何も治療していなければ治療目標値(一次予防患者では100 mg/dL 未満)の5倍以上に達している場合があります 。
HoFHは約30万人に1人の割合で発生しますが、診断を受けていなかったり、診断が遅れて適切な治療が受けられない人も多くいます。
有病率が高いのは以下のグループです。
27万5千人に1人 フランス系カナダ人
3万人に1人 南アフリカのアフリカーナ人
1万人に1人 キリスト教系レバノン人
HoFH ホモ接合体家族性 高コレステロール血症)と
HeFH(ヘテロ接合体家族性 高コレステロール血症)の 違いは何ですか?
HoFHとHeFHは非常によく似ています。実際にHoFHがHeFHと間違われることもよくあり、正しい診断が重要です。
ホモ接合体FH (HoFH) | ヘテロ接合体FH (HeFH) |
---|---|
両方の親から受け継いだ遺伝子変異 | 片方の親から受け継いだ遺伝子変異 |
30万人に1人の割合で発生 | 300人に1人の割合で発生 |
海外では: 未治療でLDL-C >13 mmol/L (=503mg/dL)とされている 日本においては: |
小児:未治療時のLDLコレステロールが140mg/dL以上を複数回確認 成人:未治療時のLDLコレステロールが180mg/dL以上 |
可能性高:眼、腱、膝、肘、手足の指の間などにコレステロールが沈着するなどの症状が現れる可能性がよくあります。ただし、これらの沈着は必ず存在するとは限りません | 可能性あり:眼、腱、膝、肘、手足の指の間などにコレステロールが沈着するなどの身体的症状が現れる可能性があります |
年齢に関係なく診断時に専門医による治療を開始 | 可能な限り早く |
引用(McGowan and Cuchel et al.)を一部改変
この病気はどのような人に多いのですか?
私たちの遺伝子は、父親由来と母親由来の2つが一組となってできています。
「ホモ接合体家族性高コレステロール血症」(HoFH)とは、両親から遺伝する希少疾患であり、「家族性高コレステロール血症」(FH)の原因となる遺伝子の対の遺伝子の変異が2つ(それぞれの親から1つずつ)受け継がれることで発生します。すなわちそれぞれの親は、一般的なヘテロ接合性家族性高コレステロール血症
(HeFH)である可能性が高いです。
HoFHが正しく診断されるということは、家族全体に関わる問題でもあります。両親やその他の親族もFHと診断される可能性が高く、HoFHの人にはHeFHの
兄弟姉妹がいるかもしれません。
この病気ではどのような症状がおきますか?
HoFHはしばしば生後20年以内に、若年性心臓発作、脳卒中、その他の心血管疾患を引き起こしたり、それを急速に進行させ生涯にわたって影響を及ぼす可能性があります。
正しく診断されていなかったり、最適な治療がなされていなかったりした場合に、病状が進行する可能性があります。
誕生時
病状の進行を防止する可能性がある小児期に診断を受けていない場合が多々あります
小児期
HoFH患者の多くは、何らかの症状が出て初めて診断を受けます
思春期
HoFH患者の中には成人するまで正しい診断を受けない人も多いため、LDLコレステロールを下げる、という重要な治療の開始が遅れてしまいます
成人するまで
兆候を知る
あなたの家族に家族性高コレステロール血症(HoFHか、より一般的なHeFHのいずれか)の者がいる
極めて高いLDLコレステロール
(悪玉コレステロール)の値が認められる
(治療なしの状態でLDL-C 10mmol/L)
初期の心血管症状
(心臓発作や脳卒中など)が認められる
目に見える徴候:
皮膚の下に脂肪が蓄積する(黄色腫と呼ばれる)
などの徴候が10歳になる前に出現する
小児に見られる
黄色腫の例
成人に見られる
黄色腫の例
100以下を目指しましょう
LDLコレステロールの目標値
日本動脈硬化学会の「家族性高コレステロール血症診療ガイドライン 2022」では「ホモ接合体家族性高コレステロール血症」(HoFH)のLDLコレステロール値100mg/dL以下を具体的な1次予防の目標値(*)として掲げてい
ます。
(*) 1次予防の目標値 - 冠動脈疾患の既往歴がない場合の目標値(ある場合は70mg/dL以下)
LDLコレステロールの値を早期に下げることの重要性
LDLコレステロールは時間と共に徐々に血管に蓄積し、ある一定の境界を越えると心臓の疾患を発症するといわれています。 具体的には、「年数 x LDLコレステロール値が6000を越える」と冠動脈疾患のリスクが上がるとされています。そのためより早く、より低くLDLコレステロールの値を下げることが重要です。
〔参考文献:日内会誌 106:2625~2637,2017〕
最適な治療を見つけましょう
HoFHの治療、すなわちLDLコレステロールを下げるためには様々な治療法があります。
LDLコレステロール値100mg/dL以下を目指し、お一人お一人に最適な治療法を見つけるために
是非専門医の先生に是非ご相談ください。
次のステップ
医師に相談する:適切な早期診断により、あなたの状態に合った治療計画で、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)を下げるための対策をとることができます
緊急治療を受ける:状況により、専門医(循環器科や代謝内分泌科など)による治療を受けます
近くの専門医(循環器医や代謝内分泌科医)を探す調べる:他の家族にHoFHのリスクがあるかどうかを確認します